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食の展示会活用方法-準備編第3回(全3回)

展示会準備のポイント


商品説明シートとバイヤーの理解ができたら、    展示会の準備です。                  準備のポイントはどこにあるのでしょうか。

 展示会の準備と言えば、ブース作りと思う方が多いのではないでしょうか。この連載の次のシリーズは「ブースの作り方編」なのですが、その前に準備しておくことがあります。

 

 まずは戦略、展示会は商談機会を得るための場所ですので、多くの方に興味を持って頂く必要があります。でも、商談の結果、掛け率や商品の種類等、お互いのニーズが合わないのでは意味がありませんから、事前にどのような販路の方と商談をしたいのか、その結果どのような取り組みをしたいのか、販路別の戦略を立てましょう。

 

 そして、販路を大きく、市販用(小売業、消費者)と業務用(飲食業、食品メーカー)に分けた場合、それぞれに準備のポイントがあります。まずこの展示会で市販用の販路を開拓したいのか、業務用の販路、またはその両方なのか、販路別の戦略を立てたうえで、できれば具体的な数値目標を立案し、下記ポイントに沿った販路別の準備に取り組むとよいでしょう。

 


(ポイント1)販路別の戦略策定

 いずれの標的顧客を狙うにせよ、そこには販路、顧客へ届くまでの流通経路があります。販路の分類は様々な方法がありますが、上記【販路別の戦略策定例】のように、販路の長さ(流通経路に業者が何社入るか)と、市販/業務用を組み合わせると、掛け率等の条件が揃い、商談の肌感覚と合致します。

 

 消費者へ直接販売する催事やギフト等「直販」、店舗に商品を卸し共同で売場を作る「小売直販」、卸売業を介し広範囲に販売可能な「卸売」(または大卸)、メニューや商品の原料と活用方法を提案、OEMやPB等共同で商品を開発・販売する「業務用」、この4販路から、図の右端にある「販路の将来像」を目指して、今回の展示会でどの販路をどれくらい獲得するか目標を立ててみましょう。

 

 もちろん、「適した商品」や「対応方針・意義」、「販路の将来像」は展示される皆様それぞれでしょう。白紙の【販路別の戦略策定表】も掲示しますので、出展前に空欄を検討してみて下さい。


(ポイント2)市販用販路の準備ポイント

 販路別の戦略策定が終わったら、数値目標を立てましょう。

例えば、

 ・直  販:ギフト獲得件数〇件×掲載品数〇点/件

       ×販売数量〇個/点×卸価〇円/個

 

 ・小売直販:定番獲得顧客数〇件×店舗数〇店/件

       ×扱い点数〇点/店×販売数量〇個/点

 

       ・日×卸価〇円/点×営業日数〇日/年

 

 ・卸  売:口座獲得数〇件×週当たり見込発注〇ケース/件

       ×卸価〇円/ケース×52週

         

 のように客観的に売上を測り、展示会の投資対効果を明確にします。

 

 市販用準備のポイントは、まず店舗フォロー体制です。市販用では商品導入直後の認知が低いため、初期導入時の店舗フォローが効果を発揮します。また、売場の変化によって顧客の飽きを防ぎ再来店を促すための四季やトレンド、記念日等、時季に合わせた提案を準備すると良いでしょう。

 

 その他、バイヤーの最大の関心事である供給能力を、聞かれる前に自ら自信をもって説明できるように自社の生産の許容量を再確認して展示会へ臨みましょう。


(ポイント3)業務用販路の準備ポイント

 業務用も戦略策定に沿い、目標を立てることから始めます。

例えば

 ・原 料:口座獲得数〇件×週当たり見込発注〇ケース/件

      ×卸価〇円/ケース×52週

 

 ・OEM:獲得件数〇点×発注数量〇個/点×受託料〇円/個

 

のように市販用同様、客観的に売上を測り、具体的な目標を立てましょう。

 

 業務用準備のポイントは、市販用同様に四季やトレンド、記念日等、時季に合わせた提案です。特に、飲食店や惣菜店は季節によるメニューの切替が早く、常に新たなメニュー開発を行っているため、効果が高いです。また、時季に合わせた提案を含め、高画質画像によるレシピ提案をお勧めします。

 

 業務用では先方の新たなレシピを作るための原材料や技術供給が主であり、一目で最終形を見せることができる画像提案が効果的です。その他、業務用の取引は商品原体に加え、パッケージにより利便性や保管方法等が左右されるため、包装の状態を事前に説明することも心掛けてください。


専門家からの一言

(企画推進員・地域プランナー・農商工連携アドバイザー 篠田 昌人)

 

 限られた日数で多くの商談をこなす展示会では事前の戦略策定と準備が鍵を握ります。バイヤーの皆さまが所属する「販路」別の戦略と準備によって、事前理解を深め、販路別目標により自らの動機付けを図りましょう。

 

不明点や疑問点などがございましたら、お気軽に当センターまでご連絡ください‼