商品紹介シートの作り方
展示会や商談会へ出展する時、商品紹介シートはどういう風に書けばベストなのか悩むことがありませんか。
農林水産省のFCPシートをはじめ、商品紹介シートには様々な様式がありますが、バイヤーに伝わる書き方は全て同じです。それは、自社の強み・特徴を明確にしつつ、「バイヤーが知りたい情報」を、分かりやすく記載することです。そのためには、商品紹介シートの様式からまず、特に大切な項目が何かを検討する必要があります。
また、もう一つの大切な視点は、誰に向けて商品紹介シートを書くのか、ということです。展示会や商談会へ参加するのは、小売業のバイヤーか飲食業の料理長で、その他の方々は概ね、これに準ずるまたは代理人の方です。
あなたがこの展示会・商談会で小売業など市販用の販路開拓を行うのか、飲食業など業務用の販路開拓を行うのか、はたまた両方なのか、事前に検討した上で下記を読み始めてください。
(ポイント1)自社や商品の強みや特徴を説明できるようにしましょう。
自社と商品の強み・特徴について、じっくり考えてみましょう。考える切り口は大きく3つです。
1つ目は、自社の存在意義は何かということです。類似の商品を扱っている会社が他にもあることかと思いますので、理由があってバイヤー、料理人、消費者から選ばれているはずです。
2つ目は、企業姿勢として食の課題をどう捉えているかです。食は、衣食住の中で最も高頻度で消費する市場ですので、課題の対応について消費者の共感を得ることができます。原料高騰、遺伝子組み換え、有機農業、食品添加物、地産地消、賞味期限など、貴社の取り組みは御座いますか。
3つ目は、エモーショナルな点です。名物おばあちゃんが頑張っている、こんな思いで取組んでいるなど、○○を応援する企画だとか、自社の努力・工夫を中心に考えてみると良いかと思います。
(ポイント2)バイヤーが特に知りたい情報は5適と商品力・企業力・商談力!
バイヤー(または料理人、以下略)が知りたい情報は、まず5適、そして商品力・企業力・商談力です。
5適とは、適時・適品・適価・適量・適所のことであり、消費者が「欲しい時に・欲しい食事が・欲しい価格で・欲しい量だけ・摂食できる」という意味になります。
バイヤーは消費者の欲求を満たすため、5適に対して、「旬と納期・品揃え・価格積算・出荷ロットと生産キャパ・物流範囲」を食品メーカー・生産者へ求めます。大切なことは、これらが商品紹介シート上で、「明確か、約束されているか、理由が説明されているか」の3点です。
商品力・企業力・商談力について、商品力は全体バランス・デザイン・食シーン・商品形状、企業力は生産方法・品質管理・出荷ロット・競争可能な価格提案、商談力は販促準備・説明能力・企画提案・コミュ力が主で、それぞれ前記の自社と商品の強み・特徴の検討項目になります。
(ポイント3)FCPシートにバイヤーが知りたい情報はまとめましょう。
上記の5適を踏まえて、商品紹介シートで特に大切な項目を洗い出します。
右図のFCPシートを例に考えると、
①適時は「提供可能時期、賞味期限/消費期限、発注リードタイム、栽培面積・年間収穫量」、
②適品は「商品名、主原料産地、認証等、商品特徴、出展企業紹介、品質管理情報」、
③適価は「希望小売価格、保存温度帯」、適量は「内容量、1ケースあたり入数、最大・最小ケース納品単位」、
④適所は「販売エリアの制限、ターゲット、利用シーン」
が特に重要な項目になります。
項目が多すぎると仰らないで下さいね。多くの項目をしっかりと埋めることがとても大切なのです。
ひとつだけヒントを付け加えておくと、写真のクオリティはとても重要です。撮影のポイントとして、暗いのはまずいので一定の明るさを確保し、ブレないように固定具(三脚、スタビライザー等)を使って撮影した上で、食欲が湧く、かつ、季節感・豊富感を表現できるように撮影してみてください。
FCPシートについての詳しい説明は以下の、農林水産省のホームページをご確認ください。
専門家からの一言
(企画推進員・6次化プランナー・農商工連携アドバイザー 篠田 昌人)
展示会・商談会の規模にもよりますが、バイヤーとの最初の接点である商品紹介シートのクオリティは、展示会・商談会の成否を分ける重要な要素です。
展示会や商談会に出展するためだけに作成するのではなく、自社を振り返る良い機会にされてください。
不明点や疑問点などがございましたら、お気軽に当センターまでご連絡ください‼